「失敗を生かす仕事術」畑村洋太郎(講談社現代新書)
失敗学の権威ともいうべき畑村先生の有名な一冊。 今ごろになって読んでいるのか、なんて言うツッコミは甘んじて受けます。
共感するところ、勉強になるところ、非常に多し。 決して精神論ではなく、失敗を冷静に受けとめて、そこから うまく定式化する方法、視野を広く持つことの重要性、 そして組織論、文化論まで。Failure Management のノウハウがつまっている。 成功から学ぼうとするのが、ともすればマニュアル主義、思考停止に陥りがちな ことを指摘して、「頭の三割はいつも冷静に」などの心構えを説くものから 「組織相手にはときに開き直るのも大事」などの行動指針を与えたりと、 失敗に対する様々な対処法を提案している。 と、いわゆる「失敗」にフォーカスを当てて読んでもよいが、 この本のあちこちにある挿絵の図のうまさに驚嘆した。 一つ一つの絵はいわゆるポンチ絵で、誰でも書けそうなものではあるが、 具体性と抽象性のバランスがよく、図には余計なものをそぎおとして 非常にシンプルな絵になっている。授業や講演などで何度も何度も同じような図を 書いたのだと思うが、概念としてすっと頭に入ってくる絵を書けるのは 訓練や試行錯誤があってこそだと思う。