「純愛時代」大平健(岩波新書)
岩波新書でも何冊も出ている精神科医の大平健さんの2000年に出た本。 いつもの大平節で雑誌の恋愛相談のような感じで読める。 題名には「純愛」とあるが、内容は恋愛関係で精神に異常を来たした 患者とのカウンセリングのケース集。それぞれのケースは非常に バラエティ豊かで、一つの傾向を出すと言うよりも、精神科医の立場では どのようなことに注目して話を聞いているのか、ということに 主眼がおかれた、淡々とした記述になっている。 それが余計な感情が入り込まずに読める一因だろうか。
著者もあと書きで「愛」をテーマにすることの難しさを述べているとおり、 確かにテーマが発散気味ではあるが、いわゆる恋の病として単純化されていた ことを、精神病を発病してしまった症例という極端な例を通じてではあるが 分析してあるのはとても面白かった。