脳の中の幽霊(V.S.ラマチャンドラン、サンドラ・ブレイクスリー)角川書店
続編も刊行されているらしいので、今さらの感もあるのだが、積ん読解消のため 一気に読んでみる。いや、一気に読まされてしまいました。面白いです。
幻肢や脳の損傷などのために発生する不思議な症例を、異常なものや例外として みなすのではなく、そこから脳のしくみの深いところにまで考察が及ぶのは さすがである。幻肢、半側無視、盲点などの変わった症状のことをこの分野に 馴染のないものにもわかるように詳しく解説されており、そこから脳の現象として どういうことが起こっているのかを、話しことばで説明されているので、 素人でも難なく話の筋を追えるだろう。 話はさらに、宗教的恍惚や、モーツアルト、ラマヌジャンのような天才のような 一種の伝説として語られていたことに対しても、脳科学の分野からの説明を しようと試みる。もちろん完全な説明ができるわけではないので、研究の現状を 説明するにとどまるのだが、こちらが想像以上に進んでいる分野もあり、 わくわくさせられる。そのうち解剖学的やホルモン治療で数学や芸術などの潜在 能力を開花させることができたり、反社会的な異常行動と快感が結び付いて しまったような患者に対して医学的な治療ができたりするかも。ちょっとこわいかも しれないけど。 そして最終章には「クオリア」問題を取り上げている。最近は茂木健一郎さんが 盛んに取り上げているので、少しはメジャーになったかも知れないが、著者はここで クオリアの機能的な特徴を以下のように挙げている。- 入力側の変更不能性
- 情報をバッファに保持
- 出力側の融通性