「自閉症だったわたしへ」(ドナ・ウィリアムス)新潮文庫
自閉症というのは外部とのコミュニケーション能力に関する障害
であると考えられているが、自閉症の人の心の内面を幼少のころから
記憶をもとに詳細に記録したのがこの本。文体が読みにくくて、
読むスピードは遅くなってしまうが、それでも読み進まざるを得ない
エネルギーを持っている。
障害を抜きにしても、著者の記憶の細かさ、どのような困難な状況においても
冷静に自分を見つめながら進む道を決めていく意志、表現することはできなくても
人の気持ちや環境に対する感受性の高さなど、ひとりの人間として圧倒される。
自分がどうしてそのような行動をするのか、どうしてそのような感情を持つのか
などについて、普通の人とは少し回路が違っていても、
非常に事細かに分析されていて、決して内部では無意味なことではないと言うのも
伝わってきて、私のような心理関係の専門家でない人間にとっても多くのことを
考えさせるのに十分な一冊であった。