「天才はなぜ生まれるか」正高信男(ちくま新書)
久々のヒットである。時間を忘れて引き込まれてしまった。
題名の示すような心理学や幼児教育の本ではない。
エジソンやアインシュタインなど誰もが知っている天才たちの
独創性がハンディキャップから生まれたものであるという説を
唱えている本である。
伝記ものとしては、それぞれの主人公の足跡をたどるわけでもなく、
業績の紹介もおざなりである。しかしいくつかのエピソードから、
障害があるがゆえに彼らが独創性を発揮し得たのだということを
解き明かしている。また、今までの多くの伝記作家や歴史家が
美化してきたことに対して、別の見方を与えていることも面白い。
日本の初等教育は欠点を矯正することに重点がおかれているし、
実際全体の底上げという意味では、詰め込み型の教育にも効果はあると
思ってきた。しかし、この本に書かれていることを信じると、
程度の差はあれ、欠点を矯正しようとするあまりに、本来発揮されたはずの
独創性が失われてしまわないようにしなければならないだろう。
なんて難しいことを考えなくても、読みものとして最高の面白さ。
おすすめ。