カーマーカー特許とソフトウェア(今野 浩) 中公新書
数学は特許にならないと言うのが常識だと思っていたが、 線形計画法の一手法がアメリカで特許として認められたとのこと。 それがカーマーカー特許。特許を申請したAT&Tとカーマーカー氏の おかれた背景、特許制度の内包する矛盾点、数理科学の研究者の立場、 法律家の立場など、多くのエピソードを交えながら この問題を紹介。著者自身が日本の研究者の立場からこの問題に大きく関わっ たこともあり、複雑に入り組んだ問題点を抽出している。
最近もよく天文学的な特許侵害賠償金のニュースが報じられるが、 特許と言うシステムが発明のインセンティブを与えるものではなく、 政治的または経営戦略的に悪用されるものになりつつあるのは 残念。AT&Tはこの特許に関しては失敗した(まだ決着がついたわけでは ないかも知れないが)のではないかと思うが、 ソフトウェア開発のインセンティブを与えつつ、権利を保護する 社会的なしくみができて欲しいものだ。